• 2009.03.21 Saturday
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 それから二年の月日が流れた。
 目に見えるところに傷のないリング。
 隠れたところに存在する小さな傷は、月日を経て深くなっていく。
 そしてその傷に気付いた時、それはすでに手遅れになっているのだろう。
 それは、その一言から始まった。

「なぁ、ファーナ」

「何?」

 パーティーの中でも古株のブラックスミスであるガンコが、偶然すれ違ったファーナを呼び止めて言ったのだ。

「そろそろ、新しいメンバーを迎え入れないか?」

 ある晴れた日の午後。
 それが、のんびりショッピングでもしようと思っていたファーナが、忙しく動き回る日に変貌した瞬間だった。


「……と言うわけなんだけど、みんなの意見を聞かせてもらえない?」

 その日の夜。
 ダウンタウンの一角にあるそこそこ広い宿屋兼食堂兼酒場にパーティーの皆を招集して食事を注文した直後、タイタニアの騎士――ファーナが、昼間にブラックスミスのガンコからの提案を皆に伝えたのだ。

「どう思うって言われてもな」

 そう言って思案するポーズを取るのはエミルのソードマン……ではなく、先月めでたくブレイドマスターに転職したアルフだ。

「私はリーダーであるファーナさんが決めれば良いと思いますけど」

 と、ドミニオンのバードであるルタが言う。

「新しいメンバーを迎える事に異論はないな。戦術の幅が広がるし」

 そう言うのは、ドミニオンのエンチャンターであるイズワードだ。
 イズワードは隣に座るルタに同意を求め、ルタはその言葉に頷いた。
 二人とも赤毛の髪に、深い青色の瞳をしていて、こうしてみるとやっぱりそっくりだ。
 双子だから当然と言えば当然なんだけど、とファーナは心の中で突っ込みを入れる。
 エンチャンターであるイズワードが兄で、バードのルタが妹なのだから、二卵性双生児という奴なのだろうが、一卵性と見間違うほどよく似ている。

「みんな、新規のメンバーを迎える事に反対はしないのね」

 そういってみんなの顔を見渡したのは、ブラックスミスのガンコだ。
 ガンコの言葉に、みんなは頷いて賛成の意を示した。

「じゃあ、メンバーの条件だけど」

 と、ファーナが言うや否や、アルフが手を上げていった。

「男が良いと思う」

「……男って」

「女性が三人、男性が二人だから比率が均等になるように、か」

「兄さんは女性が多いと困るのですか?」

「そうじゃなくて肩身が狭い思いをしてるって事よ、ルタ」

 アルフの提案に絶句するファーナを他所に、残りのメンバーの間で話はどんどん進んでいく。

「じゃあ、種族はどうするのです? やっぱりタイタニアの方ですか?」

「俺たちの場合、種族は気にしなくて良いだろ」

「だな。問題にするべきは職業だろ」

「そうね。ならどの職業の人が良いの?」

「「「うーん……」」」

 ガンコの問いかけに、三人は腕を組んで考え込んでしまった。
 当然のごとく、話についていけないファーナを置き去りにして。

「俺は前衛を任せれる人が良いな。俺もまだ未熟だし」

 アルフは「スカウト系やソードマン系の人が良いな」と付け足すように言った。

「私は遠距離攻撃ができる人が良いと思います。今は接近戦を得意とする人の方が多いですし」

「私もルタの意見に賛成かな。職業を指定するならウィザード系かアーチャー系ね」 

 ルタとガンコの言葉を聞いて何か思いついたのか、イズワードが「あ」と声を上げた。

「そういえば、リーダーに告白した奴。あいつ、たしかウィザード系だったよな」

 イズワードの言葉に、言われて見れば……と思ったのか、アルフたちは一様にして皆頷いた。

「え、と。ルークの事?」

 そう聞き返すファーナに、皆は頷いて口々に言った。

「彼なら文句なしだよな、遠距離攻撃もできるし……前衛は務まらないけど」

「アルフさんは知らないのですね。彼は前衛も十分務めることができますよ」

「嘘。だってあいつウィザードだろ? 明らかに後衛じゃん」

「ルークなら、ギルド内の模擬戦で相手を殴り倒した事があるな」

「でも、スペルユーザー同士だろ? それじゃあ――」

「聞いた話によると、ギルド対抗の模擬戦でソードマンギルド代表の人と接近戦で互角にやりあった事もあるらしいね」

「私はレベル制限のある騎士団演習でスカウト系の方とやりあった、って聞いたのですけど」

「……嘘」

 各々の口から出てくるルークの話を、目を白黒させながら聞いていたファーナが思わず呟いてしまった。

「まぁ、条件は十分に満たせてるわけだが――どうする? リーダー」

 驚きを隠せないファーナに、イズワードが問いかける。
 たしかに、話を聞くところによれば能力は十分にある。
 しかしファーナは、

「……ダメ、絶対ダメ。何が何でもダメだからねっ」

 顔を真赤にして立ち上がったファーナは、そう叫んだ。
 あまりに大きなその声に、周囲の席に座っていた客たちが食事や会話を中断し、何事かとファーナへと視線を向け――一瞬の静寂の後、ファーナが音を立てて座りなおしたのを機に、各々食事や会話を再開した。

「……コホン。と、とにかくルークはダメだからねっ」

 恥ずかしさからか、顔を真赤にしたままファーナはそう言ってそっぽを向いた。
 そんなファーナの様子を見ていたガンコは、あきれた表情を隠そうともせずに言った。

「ファーナ。反対するのは良いけど、理由は?」

「え……り、理由?」

「そう、理由」

 ただ反対、というだけでは納得できないでしょ、といいながらガンコは仲間に目をやり、その視線に気付いたメンバーは皆一様に頷くのだった。

「え、と……ほら、レベル制限のある騎士団演習って言ってたじゃない? あれって――」

「レベル80制限の事ですよ」

 ルタが言った。

「それじゃあ、ギルド対抗の――」

「ソードマンギルドの代表は俺たちと同じぐらいのレベルだったらしいぞ」

 イズワードが言った。

「えーと、私たちとは経験の差が――」

「それはこれから補えるからって、俺を誘った時は言ってたよね」

 アルフが言う。

「えと、それじゃあ――」

「ファーナ。正直に言いな」

 そうガンコが言うと、ファーナは顔を真赤にして俯き――

「……ルークとパーティーを組むなんて、恥ずかしくて――」

 とてもじゃないけど一緒に冒険なんかできない、とファーナは続けた。
 そういうファーナの表情は、一人の冒険者としてのそれではなく、一人の女性としてのそれだった。
 そんなファーナの表情を見て、一堂は一斉にため息をついた。

「まったく。どんな理由かと思えばそんな理由か」

「まぁ、ファーナさんらしいと言えばらしいですよね」

「だな」

 そんな事を言う彼らを、真赤なまま恨めしそうに睨むファーナの所に、

「あの、注文の品をお持ちしました」

 と、ウェイトレスをしていたエミルの女性が困惑した表情で声を掛けてきた。

「ありがと、こっちにも頂戴」

 手際よくテーブルの上に料理を並べるウェイトレスに、ガンコが声を掛け、

「後、この条件で募集の張り紙出しておいて」

 と、ウェイトレスに紙片と手渡したのだった。

「うちで出して良いんですか?」

「うん。いつもお世話になってるしね」

 それじゃよろしくお願い、と言われたウェイトレスはその紙片を持ってレジへと向かっていった。

「ガンコさん。今の紙は?」

「うちのリーダーが戦えなくなったら困るからルーク君を誘うっていう案は却下して、遠距離攻撃が可能な職業で募集をかけておいたの。ファーナも、それなら文句ないよね」

 というガンコに、まだ顔が赤いファーナはコクンと小さく頷いたのだった。
 その後、ルークをだしにファーナが仲間にいじられ続けたのは言うまでもない。



 アクロポリスシティアップタウン。
 黒の聖堂前にある噴水の側に、一人のエミルの男性が立っていた。
 黒い髪にこげ茶色の瞳。
 身に纏っているのは白いシャツにデニムの長ズボンを穿いている。
 その格好だけを見ればどこにでも居る男性のように見えるが、立っているその姿に隙は殆どなく、熟練の冒険者であろう事が見て取れる。
 その男性は腕につけた時計に一度目を落とし、周囲を一度見渡すと小さくため息をついた。
 そんな彼の耳に、

「おーい、ルーク」

 と、彼の名を呼ぶ友の声が届いた。
 声のした方へ振り向くと、そこには彼を目指して走ってくる一人のドミニオンの姿があった。
 息を切らせて走っているドミニオンに向けて軽く手を上げ、彼は――二年の月日を経て成長したルークは、挨拶をしたのだった。

「ごめん、待たせたっ」

 ルークの前にたどり着くと同時に、そのドミニオンは頭を下げた。
 ルークとは色違いの茶色のシャツに同じような色の長ズボンを穿いていて、その腰には大きな黒色の矢筒を下げている。

「自分で約束の時間を指定しておいて遅れるなんて、らしくない」

 ルークがそう言うと、そのドミニオンは頭を上げて「まぁ、聞いてくれ」と話を切り出した。

「セージマスターの話が予想以上に長くてさ。寝不足だったから話が途中でマジックスリープの呪文のように聞こえてくるし、同じ事を何度も繰り返すしさ」

「で、転職はできたのか? イット」

「あぁ――」

 銀髪を掻きながら言っていたドミニオンの男――イットは、その紅い瞳でルークの目を見返して言った。

「今日から俺もガンナーの仲間入りだ」


 無事に合流できた二人は近くにあった喫茶店へと入り、注文した料理が届いてから口を開いた。

「まずは、おめでとう」

「ありがと」

 共に手にしたグラスを軽くぶつけて、中に入った飲み物を一口分だけ飲む。

「で、これからどうするんだ?」

「いつもの店でパーティーの募集を確認してみるよ」

 ルークの言葉に、イットは何でもないようにそう言い、その言葉を聞いたルークはがっくりと肩を落として言った。

「じゃあ、あの話は無理だな」

「ノーザン方面に向かう医師団の護衛だっけ? 悪いな、早めに銃器の扱いに慣れたいんだ」

「気にするな。他の知り合いに当たってみるさ」

 そう言ってルークは端末を操作してフレンドリストを呼び出し、そのレベルとジョブを確認しながらめぼしい人材の選出を始めた。
 そんなルークを横目に、イットは届けられた食事を口に運び、その味を堪能する。

「そーいや、なんで医師団がノーザンに行くんだ?」

 ルークの様子を観察するのにも飽きたのか、イットは作業を続けるルークに訊ねた。

「医師団というか研究者たちって言う方が正確なんだが……ある病気の研究のために行くらしいな」

 僅かに手を止めたルークは、イットの問いに答えてから作業を再開しようとし――思い出したかのように、注文したサンドウィッチへと手を伸ばした。

「その病気ってどんなの?」

 興味本位で訊ねたイットの言葉に伸ばしかけた手を止め、ルークは答えた。

「その質問には答えられないな。一応守秘義務があるし」

「あー、そっか。悪い」

「いや、今後気をつけてくれればそれで良いさ」

 そう言って、ルークはサンドウィッチを手に取り、フレンドリストを開いた端末を片手に食事を進めるのだった。
 イットはそんなルークの様子をしばらく眺めて――

「ルーク。お前、復讐なんて馬鹿らしい事はやめろ、って言ったよな」

 その言葉に、ルークは一瞬だけ手を止め、

「あぁ、言ったな」

 かれこれ二年ほど前に、と付け加えるようにしてと答え、ルークは作業を再開した。

「復讐を果たしたところで得るものなんて何もない、と言ってたよな」

「あぁ」

 相槌を打つ事でルークは答える。
 そして、作業が終ったのか端末を閉じて懐に仕舞いこむと、顔を上げてルークは続けた。

「大体どんな奴が仇なのか知らないが、この世界で一人の人間を探し出すだけでも十分難しいだろ。そんな事をするぐらいなら生きて死者を弔い、慰める方が良いんじゃないか」

 と、ルークは言った。
 死んだ人は復讐なんて望んでいないとは言わないところが、イットは気に入っていた。
 ルークの言う死者を弔い、慰める事で得るものが自己満足であると言うのも分かっていた。
 だから、イットは言うのだ。

「同じ自己満足なら仇を殺す事を俺は選ぶね」

 と。

「……まぁ、この話は今までに何度もしたしな」

 そういって、ルークはイットから視線を外し、サンドウィッチの最後の一切れを手にとり、

「血に飢えた奴でなけりゃ、人を殺すなんて余程の理由がなけりゃしないんだし、お前が自分の目で見極めれば良いさ」

 と言って、その最後の一切れを口へ運んだのだった。


 ルークと別れ、ダウンタウンにある宿へと向かったイットは、翌朝宿屋内にある募集掲示板で遠距離攻撃が可能な職の募集を見つけ、申し込んだ。
 そして、会って話をする事になり――彼女と、再会したのだった。

「はじめまして。私の名前はファーナよ。これからよろしくね」

 そう言う、金髪のタイタニアの女性に。
 あの日、すれ違ったパーティーのリーダーに。
 シズの墓にかけられた十字架の持ち主に。

『自分の目で見極めれば良い』

 そんな、ルークの言葉はイットの頭になかった。
 イットの頭にあったのは、どうしたら確実にこの女を殺せるか。
 ただ、それだけだった。



 イットがファーナのパーティーに入ってから三日目の夜。
 仲間達とイットはそれほど仲が良いとは言えず、まだ完全に仲間になったわけではない、とファーナは感じていた。
 それもそのはず。
 彼――イットは、あの村の住人だったのだから。
 あの村での出来事は、ファーナにとっては大きな傷となっている。
 その事を知っているから、仲間たちがイットに対して警戒心を抱いているのも理解できる。
 そして、イズワードはファーナにこっそりと言ったのだ。
 イットとファーナが初めて会った時の彼の眼が、異常だったと。

「そうは思わないんだけどなぁ」

 宿屋の一室に置かれたベッドの上で寝転びながら、ファーナは呟いた。
 たしかに、彼と出会う前に一瞬だけ殺気を感じた。
 それは明らかにファーナに向けられたものだと確信できる。
 しかし、それはイットと会う前の事であり、彼と話している時に殺気を感じるような事はなかった。
 だから大丈夫、とファーナは考えているのだが、仲間はそうでないのが問題なのだ。

「……あの仕事を請けるしかないかな」

 そう呟いて、ファーナは端末のメール機能を立ち上げ、受信したメールの中から一通のメールを選び、そのメールに返事を書いて送った。
 そして端末を仕舞おうとした時、ピピッと端末が小さな音を立て、ウィスパー回線が開かれた。

『ファーナ、起きてる?』

 ウィスパー回線で送られてくる声は若い男性のもので、その声の主にファーナはすぐ気付いた。

「ぇ……嘘、ルーク?」

『正解。よく分かるね』

 ファーナの呟きに、ルークは答えた。

「ルークも、私の声ならすぐに分かるでしょ?」

 回線の向こうに居る彼の顔を想像しながら、冗談めいて言ったファーナの言葉に、

『もちろん』

 と、ルークは自信たっぷりに答えてくれたのだ。

「それで、どうしたの?」

『イズワードさんに聞いたんだけどさ、新しいパーティーメンバー募集してたんだって?』

「えぇ、でもパーティーメンバーとの話し合いの上だし、今回は先着順ってことで……ごめんね」

『……そっか』

 そう言ったきり、ルークは黙ってしまった。
 何を考えているのか、気にならないと言ったら嘘になる。
 でもそこに踏み込むのが怖い、とファーナは感じていた。
 心の中、彼が考えている事を聞いても良いのか、それが分からない。
 そして、迷った挙句ファーナは、

「そうそう。私たちのパーティー、三日ぐらい経ったらにファーイーストの方に出かけるから」

『依頼……だよね。長くなりそう?』

 ルークの言葉に、ファーナは考え込んでしまった。
 依頼自体は単純なもので、村の近くにある森の奥に住み着いた魔物を討伐する事。
 しかし、その村に行くまでどれぐらいの時間が掛かるか、森の中にある魔物の巣を見つけるのにどれくらい時間が掛かるか、はあまり見通しが立っていない。
 詳しい話は今後聞くことになるのだから、それは当然といえば当然だった。

「んー……ちょっと分からない、かな」

『そっか。こっちの仕事が片付いたら一緒に食事でも、って思ってたんだけど……それもちょっと無理かな』

 そんなルークの言葉を聞いたファーナは思わず、

「ルークの方はいつ頃終わるの?」

 と、尋ねてしまった。

『……長くても一週間、かな』

「なら、ルークの仕事が終ったら連絡してくれる? こっちも、頑張って早く終らせるから」

 そうすれば、アクロポリスシティで会えると考えて、ファーナは言った。

『仕事が終ったら、ね。分かった。それと――頑張るのも良いけど、怪我はしないようにね』

「うん、分かってる」

『それじゃ、お休み』

「うん、おやすみ」

 そして、ウィスパー回線が閉じられたのを確認し、ファーナは大きく息をついた。

「ウィスパーなんて、珍しいわね」

 ファーナが呟いたとおり、ルークとウィスパーで話し合う事なんてほとんどなかった。
 ショッピングや食事に出かける際の待ち合わせに使うことは今までにも何度かあったが、夜の会話はルークがこの店に訪ねて来る事がほとんどで、それ以外の場合ではメールのやりとりをしていたのだが、今日はどういう風の吹き回しだったのだろうか。
 それも気になる。
 けど、気にしてもルークは多分寝てしまっているだろうし、ルークをパーティーに誘うという話は心の準備ができるまで待って欲しい、とファーナは考えていた。
 では、何故ルークがウィスパーで連絡を取ってきたのか。
 そんな考えても答えが思いつかない問題を考えているうちに、ファーナは眠ってしまうのだった。



 何故、こんなところにいるのだろうか。
 深い森の中、鬱蒼と生い茂る草を踏み分けながらイットは考えた。
 ファーイースト地方にある村の依頼とやらで、村からさほど離れていない場所にある森の奥地に住むモンスターを退治することになったのだ、とパーティーのリーダーであるファーナが言っていた。
 しかし、それを伝えられたのが出発の前日であり、万全の準備を整える事ができたわけではない。
 それでも、この辺りに住まうモンスター程度なら――いや、イーストダンジョンの奥に住まうという噂のメイオウが現れたとしても、このパーティーなら倒す事も不可能ではないとイットは感じていた。

「おい、イット。どうした、遅れているぞ」

「……あー、ちょっと考え事をしてたんだ」

 前を歩くイズワードに応え、他のメンバーに遅れないように急ごうとし――イットは足を止めた。
 耳に入ってきた川の流れる音。
 先日降った雨の影響で増水しているのか、その音がここまで聞こえてきている。
 その音に、何か違和感があったような……そんな気がしたのだ。

「なぁ、巣の在り処ってもっと奥だよな」

「あぁ。川の近くにある洞穴だ、って話だな」

 その言葉を聞いた瞬間イットは腰につけたホルスターから銃を引き抜きながら叫んだ。

「リーダー! 近くに敵が居る!!」

「え?」

 間の抜けた声と同時に先頭を歩いていたファーナは足を止め、そんなタイタニアの騎士を挟むように両側の茂みから紫色の人型のカエルが姿を現した。
 それを皮切りに、パーティーの周囲を包囲するような形で同じような見た目の奴らがわらわらと姿を見せだした。

「――ちッ!」

 あまりに突然な出来事に、他のパーティーメンバーは一瞬次の動作に移るのが遅れた――たった一人、ファーナだけは敵の姿に反応してその槍を右手に現れた紫色のカエルへと突き立てた。
 そして、イットは残った左手のカエルに向けて銃を撃ち――その弾は違わずにカエルの瞳を打ち抜いた。

「イット! うしろだ!!」

 手近な奴をハンマーで殴り飛ばしていたガンコの叫びにイットが振り返ると、そこには紫色の――エルダーゲッコが今にも剣を振り下ろさんと構えていた。
 目の前で振り下ろされるその剣が、ゆっくりとイットを目掛けて迫ってくる。

「風よ、集い連なりて彼の敵を打て! サンダーボルト!!」

 呪文の詠唱と共に横合いから放たれた雷撃が、エルダーゲッコの体を貫いて一瞬だけ硬直させる。
 その隙にイットは銃を構えなおし、エルダーゲッコを撃ち倒した。

「サンキュ、イズワード」

「礼なら後にしろ」

 イットの言葉を短く切り捨て、イズワードは新たに呪文を詠唱してアルフの支援へと回った。
 アルフは一対一の戦いですら苦戦しながらも、的確にダメージを与えている。
 ガンコは何匹かのエルダーゲッコに囲まれながらも相手の体勢を崩し、連携を取らせない事で危機をしのいでいる。
 イズワードは大きな呪文こそ使わないものの、初級の魔法を組み合わせて使うことで仲間の支援を的確に行っている。
 そしてルタはようやく鞄から楽器を取り出したのか、楽器を構えて歌い始めた。
 リズムの良いその歌声に合わせて動く仲間たちは、的確に敵の急所を攻撃して一匹ずつ着実に減らしていく。
 そんな中、イットは仲間の一人の――ファーナの戦いを呆然と眺めていた。
 包囲して連携しながら攻撃してくるエルダーゲッコの攻撃を完璧に見切り、紙一重で避けていくその姿。
 地を駆け、時に宙を舞いながら攻撃を避け、その細い腕で振るわれる槍の一撃は、数匹のエルダーゲッコを戦闘不能に追い込んでいる。
 ファーナの強さを、イットは初めて目にした。
 その強さを、その戦い方を、はじめて見る彼女の戦い方を自身の内に刻み込むように、イットはしばしの間眺め――気を取り直して仲間の支援に回った。

 結果。
 イットの警告と仲間たちの奮戦のおかげで、パーティーはこの危機を乗り越えた。
 また、そこで戦ったエルダーゲッコが住み着いたモンスターの殆どだったらしく、巣に居たのは僅か数匹のゲッコだけだった。
 無事にモンスター退治を終えたイットたちは村へと戻り、その事を報告した。
 今回の依頼で、イズワード達はイットを仲間として認めたのか、前よりも親しげになったように、ファーナには感じられたのだ。



「……珍しいな。あいつと連絡が取れないなんて」

 ファーイーストでの仕事を終え、アクロポリスシティへと戻ってから数ヶ月が経った。
 その間、イットは仲間たちと共に幾つかの仕事をこなしていた。
 そして、久しぶりにアクロポリスシティへと戻ってきたイットは、ルークと会うためにコンタクトを取ろうとしていたのだが、端末ではオフラインと表示されている。
 それ自体は大して珍しくもないのだが、長期にわたって連絡が取れないというのは今までになかったことだ。

「何か仕事に集中してるのかね」

 そう呟き、イットが端末を懐に仕舞おうとした瞬間、端末がピピッと音を立てた。
 イットが端末を操作してみると、新着のメールが一通届けられていた。
 差出人の名前はファーナ。
 イットの所属するパーティーのリーダーであり、シズの仇であるタイタニアからのメールだった。
 内容は短く、僅か2行のメールだった。

  次の仕事が決まりました。
  詳しい事は今晩、いつもの宿で。

 そのメールを読み、イットはいつもの宿へと向かうのだった。
 まだ昼過ぎだが、かの宿は昼間は食堂として営業しているし、余程の事をしない限り客を追い出そうともしない。
 それに、パーティーのメンバーの殆どはその宿に宿泊しているのだから、早めに行っても誰かに会えるだろう、とイットは考えていた。
 その目論見どおり、イットが宿に到着した時にはファーナを除くパーティーメンバー全員が集まっていた。
 そしてファーナも、時間よりかなり早くに来たため、パーティーメンバーは集合時間よりかなり早く集合する事になってしまった。

「次の依頼はモーグシティでの仕事よ」

 注文を終え、席に着くなりファーナは切り出した。

「モーグシティっていうと西の方の国だな」

「えぇ、そうよ」

 イズワードの言葉に頷き、ファーナは続けた。

「モーグで有数の商人であるディアマント。彼が不正行為を行ってる疑惑があるの。そして、その証拠を見つけ出す事が今回の依頼よ」

「ファーナ、それは私たちの仕事じゃない。軍の仕事だ」

 ファーナの言葉にガンコはすぐさま異論を唱え、それに追随するようにイット以外のメンバーが頷いた。

「……イットはどう思う?」

「んー……俺たちの仕事っていうと基本は護衛関係だし、そういう意味では確かに俺たちの仕事とはいえないと思う」

「……そっか」

 肩を落として呟いたファーナに、イットは問いかけた。

「なんで……なんでリーダーはこの依頼を受けようと思ったんだ?」

「……この依頼を受ける事がみんなのためになると思ったからよ」

「みんなのためと言うなら、他のやり方もあるだろ」

 イットの問いに答えたファーナに、イズワードが言った。

「……ファーナ。あなた、他の理由を隠してるでしょ」

 イズワードの言葉を受け、ガンコが問いかけた。
 その問いにファーナは顔を上げ、困ったような、微笑んでいるような、曖昧な表情で言った。

「私、この仕事が終ったらパーティーを抜けるつもりなの」

 その言葉を聞いて、イットの意識は固まってしまった。
 抜ける、パーティーを抜ける。
 シズの仇であるファーナが、このパーティーを抜けてしまう。

「……向こうに居る知り合いに呼ばれたのよ」

 仲間たちの声が、イットの耳を通り抜けていく。
 何を言っているのかも、イットには分からない。
 分かるのは、この依頼を仲間たちは受ける事にしたという事。
 そして、この仕事が終ったらファーナはこのパーティーを抜けるという事。
 それだけは避けなければならない。
 ここでファーナがパーティーを抜けてしまうと、シズの仇が討てなくなる。

「イットも、それで良いよね?」

 ガンコの言葉に、イットは何も考えずに頷いた。
 何を言っていたのかは上手く聞き取れなかった。
 そして一週間後、彼らはモーグシティへと降り立った。
 ファーナの案内で新聞記者のジギーという男に話を聞き、モーグシティの各地に居る彼の仲間に話を聞き、証拠の書類を持った男が光の塔へと逃げ込んだ事を知る。
 そしてそれなりの金額を支払い、専用の飛空庭で光の塔へと飛び立った。
 
 光の塔に到着し、ファーナたちは迷った。
 光の塔は三つの塔から成り立っており、その塔の下に共有のフロアが何階か存在する。
 あまりに広いその場所に、彼らはどこから探そうか悩んだ。

「……推理小説とかだと、追い詰められた犯人って上に逃げるよな」

 そう呟いたアルフの勘を信じ、イットたちは二番目に高い塔の中から探す事に決定した。
 共有フロアを抜け、二番目に高い塔――B塔の八階(壁に書かれていた)で、想像もしていなかった事件がおきてしまった。


「――ッ!!」

 ファーナの振るう槍が金色の牙を持つ蝙蝠を粉砕する。
 そんなファーナに、横から同種の蝙蝠が襲いかかり――イットの銃がその蝙蝠を打ち落とす。
 連携プレイで敵を寄せ付けないファーナとイットを目掛け、ギガントが撃ち出した榴弾が炸裂し、ファーナとイットに、その後ろで倒れているガンコに、ガンコの治療をするルタにはじき出された破片が突き刺さる。

「ルタ、大丈夫?」

「私は大丈夫です。でも、ガンコさんが……っ」

 この階に上がり、屋上を目指して歩き出したルタを狙ったギガントの砲撃。
 その砲撃に気付いたガンコがルタを庇って怪我を負ったのだ。
 すぐさま治療を始めたルタを守るため、ファーナ、イット、イズワードの三人が周囲のモンスターの掃討を始める。
 アルフは一人屋上へと向かい、屋上に書類を持って逃げた男が居るかどうかをチェックしてくる役目を担っている。

「ファーナ」

「何?」

 イズワードの呼びかけに、ファーナは短く応えた。
 そしてイズワードは僅かな躊躇いの後に、言った。

「……ガンコを見捨てるべきだ」

「そんな、見捨てるなんてできませんっ」

 イズワードの言葉に真っ向から反論したのはイズワードの妹のルタだった。
 ルタは自分の不注意がガンコの怪我の原因だと思い、彼女を見捨てる事を拒んでいるのだろう。

「見捨てなければ全滅するだけだ!!」

「……ルタ、私の事は良いから」

 イズワードの叫びで目が覚めたのか、先ほどから意識が戻っていたのか、ゆっくりと立ち上がってガンコは言った。

「ファーナも。リーダーならしっかりと決断しなさい」

「ガンコ……」

 壁に手をつき、明らかに大丈夫とはいえない状態のガンコを見て、ファーナは一瞬だけ目を伏せ、ガンコと向き合って言った。

「……私たちは、仕事に戻るわ」

「そんな、ファーナさんまで!」

「ルタ」

 ルタの悲痛な叫びを、冷静なイズワードの声が遮った。

「……あの時と、同じだ」

 その言葉にはっとしたルタは、沈痛な面持ちで唇を噛み締め、

「……わかり、ました」

「……私が囮になるから、その間に皆は連絡通路の方に向かって」

「わかった。イットも、良いわね?」

 ファーナの問いかけに、イットは頷いて答えた。

「それじゃ、行くよ!!」

 ファーナの言葉とほぼ同時にガンコが飛び出した。
 その動きに気付いたギガントたちはガンコを追いかけるように、追い詰めるように砲撃する。
 そんなギガントたちの脇を、イットたちは駆け抜ける。
 後を振り返ることはなく、真っ直ぐ。
 A塔へと続く連絡通路を目指して。


 連絡通路に出たイットたちの背に、一際大きな爆音が響いた。
 その爆音に音はかき消されたが、ファーナが握った拳を強く壁に打ち付けた。

「また……また、私のせいで――ッ!!」

 壁に額を押し付け悔やむファーナを皆が囲む。
 その囲いの外から、聞きなれた声がファーナに言った。

「何か知らないけど、リーダーのせいじゃないでしょ」

 今さっきファーナたちが駆け抜けてきた扉から出てきたのか、そこに立っていたアルフが言ったのだ。
 あたりを見回し、それで分かったのかアルフは続けるようにしていった。

「自分にできる事をする。それが俺たちのチームワークなんでしょ。だから――」

 アルフはそこで一旦言葉を切り、ファーナの背中を睨みつけるようにして、言った。

「あなたが悔やんでしまえば、俺たちが何をしようと無駄になるんだ」

 そういうと、アルフはファーナに背を向けて言った。

「……で、そこの怪しい奴。逃げようとするんじゃねーよ」

 B塔から出てきたファーナたちを見てこっそりと逃げ出そうとしていたスーツ姿の男が、アルフの言葉に動きを止めた。

「俺たちは自分にできる事をやっている。それを忘れるな」

 イズワードはそう言って、アルフの方へと向かった。
 ルタは、イズワードとファーナの背中をしばらくの間見比べていたが、ファーナの背に一つお辞儀をしてイズワードの後を追った。

「自分に、できる事を……」

 小さく、一人呟いたファーナの背を、イットはじっと眺めていた。


 アルフたちがスーツ姿の男から話を聞いた結果、その男は書類を持って逃げた張本人であり、この連絡通路から書類を投げ捨てたと言った。
 それを聞いたアルフたちが、立ち直ったように見えるファーナにその事を伝えると、ファーナはしばらく悩んだ末に結論を出した。

「この依頼だけは完遂して終らせたいの。だから力を貸して、お願い」

 そう言って頭を下げたファーナに、アルフ、イズワード、ルタの三人は快く頷いた。
 イットもその三人に続くようにして頷き、パーティーの行動の方針は決定した。
 塔の最下層まで下り、書類がどこかに引っかかっている事を期待して探すという方針に。

 そこからの彼らの行動は素早かった。
 先ほどの経験を生かし、イットのチャージショットでギガントを弾き飛ばし、体勢を崩す事でその砲撃を防ぐ。
 周囲からイットを目指して寄ってくる金色の蝙蝠は、ファーナがその槍を大きく振り抜く一撃で吹き飛ばす。
 イットのチャージショットの合間を縫うようにして打たれた砲撃は、イズワードが一つ一つ正確に打ち落としていく。
 そして、パーティーは無事にB−8を抜けることに成功した。
 その後も幾つかの危機がパーティーに訪れた。
 階段で休憩しているところをフォックスハウンドに撃たれたり、シュバリスと呼ばれるラミアのようなモンスターに奇襲されたり、メインフロア1Fに到着した途端に白いモックーに襲われたり。
 そのような苦難を越え、彼らは光の塔の周辺へと出る事ができた。
 誰一人として、欠ける事無く。

「それじゃ私とアルフは書類を探してくるから、イズワードとイットはテントの準備をお願い。ルタはゆっくり休んでいて、ね?」

 ファーナの言葉に、イズワードとイットは頷き、ルタは少し戸惑い気味に頷いた。
 その様子を見て、ファーナとアルフは端末のミニマップを片手に書類の捜索へと出かけた。
 そんな二人を見送ったイズワードとイットは、早々にテントを組み立て始めた。
 先に女性用を組み立てた二人は、ルタにその中へ入って休むように薦めた。
 お言葉に甘える形でテントに入ったルタは、おろした荷物に寄りかかるようにして、すぐに小さな寝息を立て始めた。

「……ヒールやらアレスやら、結構使っていたからな」

 イズワードはそう言って、テントの入口を閉じて邪魔が入らないようにして、男性用のテントの組み立てを始めた。
 イットは周辺に落ちている木の枝を集め、二つのテントの側、ちょうど中間にあたる位置に小さな火をおこした。
 イズワードは男性用のテントができあがると、夕食の用意をイットに任せてテントの中へともぐりこんだ。
 そして日が沈む頃、イットが鍋で作った料理に最後の一匙として薬味を入れ、ぐるぐるとかき混ぜているところに、ファーナとアルフが戻ってきた。
 アルフの手には、どこかに引っかかっていたであろう、数枚の書類が握られていた。

「この通り、無事に書類を確保してきたわ」

 そう言って報告するファーナを、起きてきたイズワードとルタが笑顔と拍手で迎えた。
 イットは、一人黙々と鍋で煮込まれたシチューを注ぎ分けていた。
 二人がおきてきたこともあり、五つの容器にシチューを注いで各人に配り、焚き火を中心として各々が地面に腰を下ろした。
 その形は、角が一つ欠けた六角形に酷似していた。
 一人が欠けた寂しさを隠そうとするように――そうじゃなくても書類が見つかった事を喜び、各々は持っている容器を杯のように掲げ、その中身を口に運び、飲み込んだ。

  ――ただ一人、イットを除いて。

 それは、彼が料理をした時は当たり前の光景だった。
 自分の作った料理がみんなの口に合う事を確認してから、イットも料理を食べ始める。
 イットがパーティーに入り、料理を任されるようになってからはいつも、そのようにしていたのだ。
 だから、仲間は疑いもせずに料理を食べた。
 そう、食べてしまったのだ。

「あ、がっ!」

「ぐ、げぼっ!」

「げほっ、ごほっ」

 イットを除く四人は、料理を一口食べた瞬間、喉を掻き毟るようにして地面を転がりまわる。
 そんな仲間たちを他所にイットはゆっくりと立ち上がり、腰のホルスターから銃を抜いた。
 特定のレベルに到達したガンナーのみが所持を許される黒いオートマチック。
 その銃口をイズワードへと向け――三度、銃声が鳴り響いた。
 銃声を聞いた一同はイットへと視線を集め、その銃が向いている先で胸から、腹から血を流すイズワードの姿を見つけてしまった。
 動きを止めたイズワードから照準を外し、苦しみながらも兄のイズワードに近づこうとするルタへと銃を向け――同じように三発、銃弾を打ち込んだ。
 イットは淡々と銃口をアルフへと向け、撃った。
 銃で撃たれた三人が動きを止め、ただ一人残ったファーナはよろよろと立ち上がった。

「……なんだ、立てるのか」

 何の感慨もなく呟くイットに、ファーナは崩れ落ちそうになりながらも問いかける。

「な、んで……こん、な、事を――」

「復讐だ」

 ファーナの問いに短く答え、イットはその銃口をファーナの額に突きつけた。

「あんた達はシズを殺した。その、復讐だ」

 その言葉に、ファーナの瞳が一瞬だけ大きく開かれた。
 それを確認したイットは、ファーナの口が開かれるより僅かに早く、引き金をひいた。
 放たれた銃弾は、違う事無くファーナの額を貫き、その体はまるで糸が切れた操り人形のように地面に倒れた。
 二つのテント。
 その中間にある焚き火。
 その上で温められ、煮込まれるシチュー。
 その周囲を囲うように倒れ伏した四人の冒険者。
 その脇に立つ、一人のドミニオン。
 復讐を終えたはずなのに、何か違和感があるような、そんな感覚に襲われたイットはアルフが見つけた書類を手に取り、ポケットから小さな鍵を取り出した。

「……帰ろう」

 イットは小さく呟き、取り出した鍵で虚空にある扉を開く。
 そしてその扉を潜り抜け、イットはモーグへと帰ったのだった。


  • 2009.03.21 Saturday 01:09
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