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  • 2008.05.13 Tuesday 22:27
  • おとしもの−かえらないモノ−
  • by LF
 ぴ、ぴ、ぴ、ぴ。
 ピ、ピ、ピ、ピ。

  ――ピピピ、録音ヲ開始シマス。

 ん、なんや?
 もう喋ってええんかいな?

(無言で親指を立てる)

 そかそか。なら喋らせてもらうで。
 ほんま、こうやって人と喋るのは久しぶりやからなぁ。
 結構緊張してんねん、こう見えても。
 わい、緊張してるように見えへんやろ?

(こくこく)

 そやろな。
 この格好になってから、誰も口きいてくれんくてな。
 ちょっと寂しい思いをしとったところなんや。
 ん、何々?
 「そんな格好をしてたら喋ってくれなくて当たり前」やて?
 あはははは。
 じょーちゃん面白い事言うやないか。
 たしかに、この格好でここをうろついてたら誰も口きいてくれんわな。
 そやそや、たしかにそうや。
 あー、久しぶりに笑わせてもらったで。

(紙に何かを書いて相手に見せる)

 ん?
 あー、そうやった。
 嬢ちゃんはその話を聞きにきたんやったな。
 んー、アレは何年前やったかな……
 こう見えても、わいは元々商人でな。
 とある香水を探しに旅に出たことがあるんや。
 ん、「その香水どんな香水なのか」やて?
 あれや、商人なら誰でも欲しがる金運アップの香水や。
 その名も『金運の香水』っちゅうんやけど……そのまんまやん、って突っ込みは厳禁やで?

(書き書き)

 「思わず突っ込むところだったよ」か。
 まぁ、たしかにそうやろな。
 それにこんな名前やさかい、誰も効果のほどを信じてくれんくてなぁ。
 ん? わいか?
 わいは信じてんで、『金運の香水』の効果。
 証拠?
 証拠ならここにあるで。ほら。

(そういって大量のラピスラズリの欠片を見せてくれた)

 な、これだけあれば一財産築けるやろ。
 「どうやって手に入れた?」って……
 んー、そうやな。
 それやったら最初から話たるわ。
 なんでわいが今こんなとこにおるんか、ってことを。


 あれは何年前の事やったかな……
 わいが必死になって探してた『金運の香水』を見つけた時やから――あかん、よう覚えてないわ。
 『金運の香水』を手に入れて有頂天になってたわいは、故郷に帰ろうと機関車に乗ってたんや。
 ほら、この上走ってるやろ? 今でも。
 そそ、時々人身事故起こしおるあれや。
 アレに乗って、故郷に帰る途中やったんや。
 あぁ、故郷はトンカや。
 やから、故郷行きの飛空庭まで機関車に乗って移動してる時の事やった。
 その機関車がな、岩とぶつかるっちゅう事故を起こしおってん。
 何々、「それなら機関車も無事じゃ済まなかったんでしょ」か。
 嬢ちゃん。
 機関車は何事もなかったように走っていってん。
 ただ、そこで乗客一人が車外に放り出されて、誰もそれに気付かんかったっちゅう話や。
 で、気付いたら、や。
 まわりにドミニオンの奴らがたむろしてるやないか。
 しかも、線路の傍やのうてどっか別んとこに運ばれとったしな。
 んで、なんや。
 話聞いてみたら食料が欲しいとか抜かすやないか。
 しゃあないから、わいは手持ちの保存食を売ってやったんや。
 もちろん金はもろうたで。
 わいは商人や。ただで物をあげるほど人はできとらんからな。

(書き書き)

 そや。
 あのラピスラズリの欠片がドミニオンのはろうてくれた代金や。
 そいで、どうにか故郷に帰ろうと道を聞こうと思ったんやけど……
 あいつら、線路の場所もトンカ行きの飛空庭の場所もわからんとか言いおってな。
 しゃあないから、そこで救助を待とうと思うたんや。
 機関車に乗ってたのは分こうてるわけやしな。
 しかし、待てども待てども救助は来ない。
 待ってる時間暇やったし、食料はぎょうさんあったさかいに、ドミニオンたちから魔法を教えてもろうてん。
 暇な時間の有効活用って奴やな。
 それで、魔法の練習を始めて、しばらく経った日の事や。
 『ナッシングネス』っちゅう魔法の練習中にな、間違って自分の足を落としてしもうてん。
 あん時は悲惨でなぁ、もう魔法の練習もしたくなくなったわ。
 無事に戻っても足がないままやしな。
 ん?
 「出血とかはなかったの?」やて?
 そやなぁ……出血はなかってん。なんでか知らんけどな。
 まぁ、一種の奇跡やって思う事にしてるわ。
 でな。
 そのままやと移動できへんし、どうしようか悩んでたらドミニオンの奴がな、
「魔力で身体を浮かせて移動させれば良い」
 とか言い出しおってん。
 で、やり方聞いて練習して――一週間程度やったかな。
 それぐらいで、宙を飛んで移動できるようになってん。
 で、最近はこのあたりで冒険してる人から食料を分けてもらおうって思ってんねんけど……
 わい、こんな格好やろ?
 皆問答無用で攻撃してくるさかい、正直こまっとってん。

 まぁ、こんなところや。
 なんや、役に立つ話でもあったかいな?

(ピッと何かを見せる)

 『金運の香水』やて?
 それなら今でももっとるよ、ほれ。

(そういって金色の水が入ったビンを見せてくれる)

 なんや嬢ちゃん、この香水が欲しいんかいな?

(こくこく)

 そやなぁ……
 ま、わいが持っててもしゃあないし、嬢ちゃんにあげるわ。
 こんな格好やさかい、故郷に帰りとうても帰られへんしな。
 あー、そや。
 トンカの――っちゅう家に、ペペペがよろしゅう言っとった、って伝えてくれんか?

(こく)

 そか。
 なら頼むで。
 あー、そうやったな。
 ほい、これが金運の香水や。
 そいじゃ嬢ちゃん、気ぃつけて帰りぃやー。

  ――ピッ、録音ヲ終了シマス。

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